令和2年4月1日から民事執行法が改正され、金銭債権ないし養育費等の扶養義務等に係る請求権・生命身体の侵害による損害賠償請求権について執行力のある債務名義の正本を有する債権者等の申立てにより、裁判所が債務者の不動産・勤務先等・預貯金等に関する情報の提供を命じる手続が新設されます。

以下では特に、給与債権および預貯金債権についてに記載致します。

1.給与債権に係る情報の取得

申立人

執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者のうち下記いずれかの者

・養育費等(民事執行法第151条の2第1項各号)の扶養義務等に係る請求権者

・生命身体の侵害による損害賠償請求権者

※ 債務名義の記載から上記に該当するか否か明らかでないときは手続が認められない場合があります。

相手方

・市町村

・日本年金機構、国家公務員共済組合、国家公務員共済組合連合会、地方公務員共済組合、全国市町村職員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団

要件

1.執行力のある債務名義の正本を有すること

なお、債務名義の種類や内容に応じて、執行文や確定証明書等が必要となります。

2.執行開始要件を備えていること

債務名義の送達がなされていることや債務者が破産開始決定、民事再生手続開始決定等を受けていないことなどが挙げられます。

3.下記いずれかの場合であること

(1)申立て前6か月以内に強制執行等による配当手続により全額の弁済を受けられなかったこと

(2)知れている財産に強制執行を行っても、完全な弁済を受けることができない旨の疎明があること

4.申立て前3年以内に財産開示期日が実施されたこと

添付書類等

添付書類

□執行力のある債務名義正本

□送達証明書

□資格証明書(相手方が市町村以外の場合)

□債務名義上の住所・氏名が変更している場合は申立人もしくは債務者の住民票・戸籍附票・戸籍謄本等

証拠・疎明資料等

・上記要件3.(1)の場合

□配当表、弁済金交付計算書、債権差押命令等の写し

・上記要件3.(2)の場合

□財産調査結果報告書

・上記要件4の証明資料

□財産開示手続実施決定書・期日調書の写し

2.預貯金債権等に係る情報の取得

申立人

執行力のある債務名義の正本を有する金銭債権の債権者

相手方

銀行等各種金融機関(本店宛て)

要件

1.執行力のある債務名義の正本を有すること

 なお、債務名義の種類や内容に応じて、執行文や確定証明書等が必要となります。

2.執行開始要件を備えていること

債務名義の送達がなされていることや債務者が破産開始決定、民事再生手続開始決定等を受けていないことなどが挙げられます。

3.下記いずれかの場合であること

(1)申立て前6か月以内に強制執行等による配当手続により全額の弁済を受けられなかったこと

(2)知れている財産に強制執行を行っても、完全な弁済を受けることができない旨の疎明があること

添付書類等

添付書類

□執行力のある債務名義正本

□送達証明書

□資格証明書(相手方が市町村以外の場合)

□債務名義上の住所・氏名が変更している場合は申立人もしくは債務者の住民票・戸籍附票・戸籍謄本等

証拠・疎明資料等

・上記要件3.(1)の場合

□配当表、弁済金交付計算書、債権差押命令等の写し

・上記要件3.(2)の場合

□財産調査結果報告書

債務者への通知

情報提供の手続が実施されると、裁判所から債務者へ通知が送られることになります。(民事執行法208条第2項)

預貯金の場合、この通知のタイミング次第では、債務者に、強制執行を行うことが悟られてしまうため、然るべきタイミングで行われることが見込まれています。

第208条 

第2項 前項の情報の提供がされたときは、執行裁判所は、最高裁判所規則で定めるところにより、申立人に同項の書面の写しを送付し、かつ、債務者に対し、同項に規定する決定に基づいてその財産に関する情報の提供がされた旨を通知しなければならない。

申立費用

申立書類作成報酬 38,500円(税込) ※預貯金の場合、金融機関1つ増加ごとに1万円加算

申立て1件につき 印紙代1,000円

予納郵券 

予納金 ※預貯金債権に対する情報取得の場合

その他実費

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