取締役会議事録の押印
先日、下記ご質問を頂いたため、ご説明させていただきます。
<ご質問>
この度の新型コロナウィルスの影響により、取締役の方々が10名近くおり、かつ全国各地の拠点に散在していることもあって、定時株主総会後の代表取締役選定のための取締役会について、ウェブ会議で行いたいが、登記の申請は2週間以内でなければならないか?
<回答>
変更登記の申請については2週間以内に行わなければなりません。(会社法第915条)
今回のご質問の意図といたしましては、ウェブ会議による取締役会が実開催扱いとなるため取締役会議事録の押印について、出席した取締役・監査役が署名または記名押印しなければならず(会社法第369条第3項)、議事録を郵送等で持ち回りして各出席役員から押印を得るにあたって、2週間という期間が厳しいというものでした。
取締役会議事録の作成については、特に期限が法定されているわけではありませんので登記が関わらない場合にはそこまで問題とはならないもの存じますが、このような場合に現状取り得る手段と致しましては、以下の方法が考えられます。
①取締役会の書面決議
この場合、同意書をそれぞれ個別に取り付けますので持ち回りの時間を省く事ができます。
②株主総会で代表取締役を選定する旨の定款規定を置き、株主総会を書面決議で行う。
この場合、前任代表取締役が届出印(代表印)を押印する場合を除き、議事録作成者である取締役のみが個人の実印を押印し、印鑑証明書を添付することで代表取締役の就任登記ができる取り扱いです。
ただし、押印の手間を省くためにこのような取り扱いすることについては、若干の違和感があります。
③各取締役電子証明書を取得の上、会社法第369条第4項に基づき各役員が電子署名
この場合、PDF等で作成した取締役会議事録に出席役員が電子署名を行います。クラウドや共有サーバ上の議事録ファイルにそれぞれ電子署名を行ったり、メールによって持ち回り電子署名を行うことで郵送の時間を省くことが可能です。まず各取締役がそれぞれ電子証明書を取得するところにハードルの高さを感じますが、役員がある程度固定的な会社においては活用が期待できます。