完全子会社間の吸収合併②(債権者保護手続)

債権者保護手続

スケジュールを確認し、調整が済みましたら債権者保護手続の準備に取り掛かります。

吸収合併によって、不利益を被る恐れのある当事会社の各債権者を保護するため、消滅会社に対しては会社法789条、存続会社に対しては会社法799条の規定により、債権者は本合併に対して異議を述べる事ができます。

この、当事会社の商号や住所、異議を述べる事ができる旨およびその期間などを、債権者に告知するために当事会社が行う手続が債権者保護手続です。

債権者保護手続の方法

1.官報公告

官報公告は必ず行います。

2.各別の催告

各別の催告は、当事会社が、それぞれ知れたる債権者に対して、下記記載事項を記載した文書を送付することにより行います。

3.定款の公告方法(官報以外)による公告

債権者が多数いる場合に各別の催告によると、個別の根回しや送付作業が煩雑であったり、送付漏れが発生する恐れがある等一定のリスクを伴います。

そのような場合、各別の催告に代えて、定款の公告方法(日刊紙または電子公告)による公告を行うことも可能です。ただし、日刊紙による場合は、費用が高額になりがちであり、また、電子公告による場合は、電子公告調査会社の調査を受ける必要があり、公告掲載の継続性と安定性が求められます。

定款の公告方法が官報の場合、各別の催告を避けるため、公告方法を日刊紙や電子公告に変更して催告を省略することも可能ですが、定款変更を行う必要がありますので事前に株主総会の特別決議を経た上、登記を行う必要があります。

公告・催告書記載事項

公告・催告の内容として、下記事項が記載されている必要があります。

  • 吸収合併をする旨
  • 消滅会社または存続会社の商号及び住所
  • 当事会社の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
  • 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨

決算公告が必要な場合

合併にかかる債権者保護手続を行うにあたり、当事会社の「計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの」がその内容の一つとなっております。法務省令で定めるものとは、定款の公告方法に応じた決算公告掲載場所を示すものです(会社計算規則第188条、同第199条)。

そのため、もし最終の事業年度に関する決算公告が未了の場合は、定款の公告方法に則った決算公告を行った上で、債権者保護手続を行う必要があります。なお、定款の公告方法が官報の場合は、決算公告と合併公告を同時に行うことも可能です。ただし、この場合は官報本紙ではなく、号外に掲載されることになり、公告の申込期限が前倒しされるため注意が必要です。

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