株式の併合とは

株式の併合とは、発行済株式総数を一定の割合に応じて圧縮する手続のことです。

例)A株式会社:10株を1株に株式を併合

(併合前)発行済株式総数100株 ⇒ (併合後)発行済株式総数10株 

株式の併合を行うと、理屈上、1株当たりの価値が高まります。単純に考えると、これまで1株千円であった会社の株式を、10株を1株に併合すると1株1万円となります(便宜上の計算です)。そのため市場価額の適正を図るためや合併等の対価として割り当てる株式数を対当化するために行うことなどが考えられます。

また株主の議決権にも大きな影響を与えます。

例)A社の株主構成

株主 株式数
X 60株
Y 35株
Z 5株

これまで、Yは100分の35、Zは100分の5の株式をそれぞれ保有していましたが、

株主 株式数
X 6株
Y 3.5株
Z 0.5株

10株を1株とする株式併合が行われてしまうと、株式の併合により1株未満の端数が発生した場合、その端数分の株式は切り捨てられるため、上表のようにYは10分の3と株式の保有割合が目減りし、Zに至っては0株となり、株主ですらなくなってしまいます。このため、株式の併合は、少数株主を排除(スクイーズアウト)するために利用されることもあります。

このように、株主の権利に重大な影響を及ぼしますので、株式の併合を行うためには株主総会の特別決議が必要となり、上記例においてはYとZが反対すると10株を1株とする株式の併合はできなくなります。

なお、株式の併合により、1株未満の端数が生じる場合、当該株式の併合に反対する株主は、その端数の全部を会社に対して買い取るよう請求することができ(会社法第182条の4、5)、また、会社側は発生数端数の合計数相当の株式を競売、もしくは、裁判所の売却許可を得て売却(会社が買い取ることも可能)し、その代金を株主に交付しなければなりません。(会社法第234条第2項、第235条)

株式の併合の手続

株式の併合を行う際、会社は下記の各手続を行う必要があります。

  1. 株主総会(特別決議)
  2. 株券提供公告(株券を現に発行している場合)
  3. 株主・登録質権者への通知または公告(会社法第181条)
  4. 株式の併合に関する事項に関する書類等の事前備置き(会社法第182条の2、会社法施行規則第33条の9)
  5. 株式の併合に関する書類等の事後備置き(会社法第182条の6、会社法施行規則第33条の10)

<株主総会>

株主総会では、株式の併合に関する下記事項を決議しなければなりません。

  • 併合の割合
  • 効力発生日
  • 種類株式発行会社の場合は、併合する株式の種類
  • 効力発生日における発行可能株式総数

<通知または公告>

会社は、効力発生日の2週間前までに、株主および登録質権者に対して、上記株主総会決議事項を通知または公告する必要があります。ただし、併合により1株未満の端数が生じる場合にはこの期限は効力発生日の20日前までとなります。(会社法第182条の4第3項)

<事前備置き>

事前備置期間は下記のいずれか早い日から効力発生後6ヶ月経過する日までとなります。

  • 株式の併合に関する各事項を決議する株主総会の2週間前の日
  • 併合により1株未満の端数が生じる場合、会社法181条の通知または公告のいずれか早い日

事前備置書類の記載事項

また、事前備置書類の記載事項は株主総会決議事項その他下記各事項となります。

会社法施行規則第33条の9

会社法182条の2第1項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

① 次に掲げる事項その他の法180条第2項第1号及び第3号に掲げる事項についての定めの相当性に関する事項

 イ 株式の併合をする株式会社に親会社等がある場合には、当該株式会社の株主(当該親会社等を除く。)の利益を害さないように留意した事項(当該事項がない場合にあっては、その旨)

 ロ 法第235条の規定により一株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法に関する事項、当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の相当性に関する事項

② 株式の併合をする株式会社(清算株式会社を除く。以下この号において同じ。)についての次に掲げる事項

 イ 当該株式会社において最終事業年度の末日(最終事業年度がない場合にあっては、当該株式会社の成立の日)後に重要な財産の処分、重大な債務の負担その他の会社財産の状況に重要な影響を与える事象が生じたときは、その内容(備置開始日(法第182条の2第1項各号に掲げる日のいずれか早い日をいう。次号において同じ。)後株式の併合がその効力を生ずる日までの間に新たな最終事業年度が存することとなる場合にあっては、当該新たな最終事業年度の末日後に生じた事象の内容に限る。)

 ロ 当該株式会社において最終事業年度がないときは、当該株式会社の成立の日における貸借対照表

③ 備置開始日後株式の併合がその効力を生ずる日までの間に、前二号に掲げる事項に変更が生じたときは、変更後の当該事項

<事後備置き>

事後備置期間は、効力発生日から6ヶ月間となります。

また、事後備置書類の記載事項は効力発生時の発行済株式総数その他下記各事項となります。

会社法施行規則第33条の10

法第182条の6第1項に規定する法務省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。

① 株式の併合が効力を生じた日

② 法第182条の3の規定による請求に係る手続の経過

③ 第百八十二条の四法第182条の4の規定による手続の経過

④ 株式の併合が効力を生じた時における発行済株式(種類株式発行会社にあっては、法第180条第2項第3号の種類の発行済株式)の総数

⑤ 前各号に掲げるもののほか、株式の併合に関する重要な事項

株式の併合の登記手続

株式の併合の登記申請の必要書類は下記のとおりです。

□ 株主総会議事録

□ 株主リスト

□ 登記委任状

※ 上記のほか、下記括弧書きに該当する場合は、下記書類も必要となります。

  1. 株券提供公告をしたことを証する書面(株券を現に発行している会社)
  2. 株券全部を発行していないことを証する書面(株券発行会社で株券全部を現に発行していない会社)

なお、株主・登録質権者に対して通知または公告をしたことを証する書面は登記の際には不要です。

株式の併合のに関する登記費用

費用は概算で合計7万円ほどとなります。

報酬(消費税込) 38,500円
登録免許税(登録免許税法別表1.24.(1)ツ) 30,000円
登記事項証明書 480円
その他実費 1,000~2,000円

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