法定後見制度とは

法定後見制度とは、認知症等により判断能力が低下してしまった方の不動産や預貯金等の財産の管理・処分、介護施設等との入所契約など法律行為を行うにあたって、その方に代わって、または当該行為に同意することで、判断能力の不十分な方を保護し、支援するための制度です。

この制度の適用を受けると、

法定後見の種類

法定後見制度には、判断能力の程度当等事情に応じて、「成年後見」「保佐」「補助」の三つの区分があります。

実際、どの区分に該当するかについては、医師の診断や鑑定により行われます。

▮ 成年後見

成年後見は、常に判断能力を欠いている状況にある方について、ご本人や配偶者・四親等内のご親族の方等が、家庭裁判所に申立てを行うことにより後見開始の審判がなされ成年後見人が選任されることで開始します。

成年後見人は、家庭裁判所の判断により、下記欠格事由に該当しなければ誰でもなることができますが、ご家族の方や弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門家や社会福祉協議会等の法人が選任されることもあります。

なお、平成31年3月18日、最高裁判所は「親族を選任することが望ましい」という見解を示しています。

成年後見人は、本人を代理して契約等を行ったり、本人が行った日用品の購入その他日常生活に関する行為以外の法律行為を取り消すことができます。

▮ 保佐

保佐は、判断能力が著しく不十分である方について、ご本人や配偶者・四親等内のご親族の方等が、家庭裁判所に申立てを行うことにより保佐開始の審判がなされ保佐人が選任されることで開始します。

保佐人は、家庭裁判所の判断により、下記欠格事由に該当しなければ誰でもなることができますが、ご家族の方や弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門家や社会福祉協議会等の法人が選任されることもあります。

保佐人は、ご本人による下記各行為について同意権をもち、保佐人の同意なく行われた下記行為は取り消すことができます。

  • 元本を領収し、又は利用すること。
  • 借財又は保証をすること。
  • 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
  • 訴訟行為をすること。
  • 贈与、和解又は仲裁法第2条1項の仲裁合意をすること。
  • 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
  • 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
  • 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
  • 民法第602条(短期賃貸借)に定める期間を超える賃貸借をすること。
  • 上記各行為を制限行為能力者の法定代理人としてすること。

▮ 補助

補助は、判断能力が不十分である方について、ご本人や配偶者・四親等内のご親族の方等が、家庭裁判所に申立てを行うことにより保佐開始の審判がなされ補助人が選任されることで開始します。

また、同時に、以下のいずれか、もしくは両方の審判の申立てが必要です。

  • ご本人のために特定の法律行為について補助人に代理権を付与する旨の審判
  • 上記保佐人の同意を得る必要がある行為のうちの一部の行為について、補助人の同意を得なければならない旨の審判

なお、ご本人以外の方が家庭裁判所に審判の申し立てを行う場合、ご本人の同意が必要です。

補助人は、家庭裁判所の判断により、下記欠格事由に該当しなければ誰でもなることができますが、ご家族の方や弁護士・司法書士・社会福祉士等の専門家や社会福祉協議会等の法人が選任されることもあります。

補助人は、ご本人による補助対象行為について、補助人の同意なく行われた行為は取り消すことができます。

欠格事由

次に該当する方々は、成年後見人、保佐人、補助人になることができません。

  • 未成年者
  • 家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人又は補助人
  • 破産者
  • 被後見人に対して訴訟をし、又はした者並びにその配偶者及び直系血族
  • 行方の知れない者

申立時必要書類

以下、一般的な必要書類となります。事案に応じて別途必要となる書類が発生する場合があります。

  • 本人の戸籍謄本
  • 本人の住民票又は戸籍附票
  • 申立人の戸籍謄本(※申立人が四親等内の親族の場合)
  • 成年後見人等候補者の住民票又は戸籍附票(法人の場合は,法人の登記事項証明書)
  • 本人の成年被後見人等の登記がされていないことの証明書(発行から3か月以内のもの)
  • 本人の診断書

※上記につき、発行から3か月以内のもの

  • 本人情報シート写し ※医師による診断書等作成の資料として福祉関係者が作成する書式 
  • 本人の健康状態に関する資料(介護保険認定書,精神障害者保健福祉手帳等)
  • 本人の財産に関する資料(預貯金通帳写し・残高証明書等、不動産の登記事項証明書、債務について契約書写し等)
  • 収入に関する資料の写し:年金額決定通知書、給与明細書、確定申告書等
  • 支出に関する資料の写し:施設利用料、入院費、納税証明書、国民健康保険料等の決定通知書等
  • 保佐・補助に関し、同意権・代理権付与の審判を申立てる場合、同意権・代理権を要する行為に関する資料(契約書写しなど)

お問い合わせ

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