株券を発行する旨の定め

平成18年の会社法施行以降、原則として会社は株券を発行しないこととなりました。しかしながら、法改正以前は原則として株券を発行するという制度設計であったため、法改正前に設立された会社には、株券を廃止する手続を行っていない限り、登記簿上「株券を発行する旨の定めがある」との登記がされています。

「株券を発行する旨の定め」があり、実際に株券を発行している場合、株券の発行事務や紛失時等の管理事務が発生し、株券を発行しない会社と比較するとよりコストがかかってしまいます。

さらに、当該定めがある場合、いくつかの法律上の手続を行う際に、行わなけれならない手続が増えてしますことがあります。

例えば、当該定めのあって、実際に株券を発行している会社が、公開会社から非公開会社に変更する際、各株主が保有している株券を会社に提出してもらい、改めて株式の譲渡制限規定を記載した株券を改めて発行する必要があります。そのため、会社としては「株券提供公告」と「各株主への通知」を行わなければなりません。

上記を踏まえ、法令に基づく、株券を発行しない場合の株主名簿の管理が困難な場合や、外部の株主の方がいらっしゃる場合等でもない限りは、株券を発行する旨の定めを廃止しておいた方が、コストや手続を軽減することにつながるものと存じます。

以下、株券の廃止手続について記載します。

株券の廃止手続

株券の発行については、定款によって定めます。そのため、株券を廃止するにあたり「株主総会」の特別決議が必要となります。

また、実際に株券を発行している会社においては、株券廃止の効力発生日の2週間前までに「株券廃止の公告」および、各株主及び登録質権者に対して個別の通知を行う必要があります。

この公告・通知の内容としては、

  • 株券を廃止する旨
  • 効力発生日
  • 効力発生により株券が無効となる旨

が記載されている必要があります。

なお、効力発生により株券は無効になりますので、株主から株券を回収する必要はありません。

株券を発行する旨の定めはあるものの株券を実際には全く発行していない会社においては、上記の公告または通知を行うことで構いません。

株券廃止の登記手続

登記申請にあたり、必要となる書類は下記のとおりです。

□ 株主総会議事録

□ 株主リスト

□ 株券廃止公告をしたことを証する書面(株券を実際に発行いる場合)

□ 株券全部を発行していないことを証する書面(株主名簿)

□ 登記委任状

登記費用

報酬(消費税込) 22,000円
登録免許税(登録免許税別表1.24.(1)ツ) 30,000円
登記事項証明書 480円
その他実費(郵送料等) 1,000~2,000円

※その他、公告が必要な場合は公告費用並びに報酬(税別)5,000円が加算されます。

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