相続登記とは
相続登記とは、法務局により管理されている、亡くなられた方(被相続人)名義の土地建物といった不動産の登記記録上の名義を、その相続人の方にを変更する手続です。
相続登記には主に、民法に規定する法定相続分に基づく場合、遺言による場合、遺産分割協議による場合があります。
この手続は、必要書類を準備し、相続不動産の所在地を管轄する法務局に申請することによりを行いますが、上記のどの場合によるかによって必要書類も変わります。
また、申請の際には、法務局へ登録免許税を納めなければなりません。登録免許税の金額は、原則、申請年度の固定資産税の評価額の0.4%です。
相続登記の必要性
不動産を相続した場合、特に、遺言や遺産分割によって法定相続分を超える持分を相続した場合は所有権移転登記を行わなければ、法定相続分を超える持分の取得を善意の第三者に対抗することができません。
例えば、被相続人:Aさん 相続人:配偶者Bさん(法定相続分2分の1)・子Cさん(法定相続分4分の1)・子Dさん(法定相続分4分の1)、相続財産:自宅不動産のみ、遺産分割により配偶者Bさんが自宅を相続したとします。
相続登記を行っていない場合、相続人Cさんの債権者である遺産分割の事実を知らないXさんが、債権の回収を図るため、相続財産である不動産に差押えを行うと、法定相続分による相続登記がなされた上、Cさんの持分4分の1に対して差押の登記が入ります。せっかく、遺産分割によりBさんを所有者とする事に決めたことは、Cさんの債権者Xさんには対抗できなくなってしまうのです。
このような事態を防ぐため、相続発生後は可能な限り速やかに相続登記を行う必要があります。
相続登記の義務化
2024年4月1日から相続登記が義務化されます。
これにより、相続によって所有権を取得した方は、原則として、
「自己のために相続の開始があったことを知り」かつ「当該所有権を取得したことを知った日」から3年以内
に、相続による所有権の移転の登記を申請しなければならなくなりました。(改正後不動産登記法第76条の2)
これは、この法改正より前に亡くなられた方の名義の不動産にも適用されますので、既に亡くなられている方名義の不動産を相続しているものの、その名義変更の登記を行っていない場合には、2024年4月1日から3年以内に、登記を行う必要があります。
もし、この相続登記を正当な理由なく怠ってしまうと、10万円以下の過料に処せられる場合があります。(改正後不動産登記法第164条)
遺言による相続登記
被相続人の方が、公正証書遺言や自筆証書遺言(要検認)により、不動産を引き継ぐ相続人の方指定している場合の不動産の名義の変更手続きには、主に下記書類が必要となります。
必要書類
遺言書 | 公正証書遺言・遺言保管制度を利用した自筆証書遺言を除き、家庭裁判所による検認が必要です。 |
被相続人の戸籍(除籍)謄本 | 死亡の記載のあるもの |
被相続人の住民票の除票 | 死亡の記載のあるもの |
相続人の現在の戸籍謄本 | 遺言により相続を受ける相続人の方のもの |
相続人の住民票 | 遺言により相続を受ける相続人の方のもの |
固定資産税の評価証明書または固定資産税納税通知書中の課税明細書 | 登記申請時、最新年度のもの |
登記委任状 | 司法書士に手続きを依頼する場合に必要です。 |
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遺言の有無を調べる方法はありますか?
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公正証書遺言については、最寄りの公証役場で検索してもらうことができます。
自筆証書遺言については、遺言保管制度を利用して遺言を遺された場合、法務局へ遺言保管事実証明書の交付請求を行って調べる方法があり、また、遺言者の方の死後、法務局から相続人の方に通知が届く場合もあります。
公正証書遺言の検索
この際、下記書類が必要です。
- 亡くなられた方の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本
- 検索をご希望される相続人の方が直接行う場合
- 亡くなられた方との相続関係を証する戸籍
- ご身分証明書(免許証、マイナンバーカード、パスポート等)
- ご印鑑
- 相続人から委任を受けた方(受任者)が行う場合
- 委任状(実印で押印)
- 委任者である相続人の印鑑証明書(3か月以内)
- 受任者のご身分証明書(免許証、マイナンバーカード、パスポート等)
- 受任者のご印鑑
また、遺言検索について、公証役場への手数料は無料です。
公正証書遺言が見つかった場合、遺言が保管されている公証役場へ正本ないし謄本の取得請求を行うことで遺言の内容を確認することや、不動産の名義変更手続等に利用することが可能です。
遺言保管事実証明書の交付請求
遺言保管事実証明書の交付請求は、全国どこの法務局でも行うことが可能ですが、直接窓口で手続きを行う場合には事前予約が必要です。また、郵送でも対応していただけます。郵送の場合は予約は事前予約は不要です。
手続には下記書類が必要です。
- 交付請求書(法務省の自筆証書遺言保管制度に関するサイトでダウンロード可能です)
- 亡くなられた方の死亡の記載のある戸籍(除籍)謄本等
- 請求する方の住民票
- 請求する方が相続人の場合、相続関係を証する戸籍謄本
- 顔写真付の公的身分証明書(免許証、マイナンバーカード等)
また、手数料は証明書1通800円です。
遺言書が見つかった場合には、別途、添付書類を収集の上、遺言書情報証明書の請求をすることで遺言の内容を確認し、また、不動産の名義変更手続等に利用することが可能です。
なお、遺言保管制度を利用した自筆証書遺言の場合、家庭裁判所での検認手続を省略できます。
遺産分割による登記
遺言により、不動産を相続する方が定められていない場合に、相続人の中から法定相続分と異なる割合で不動産を相続する方を決める場合は、すべての相続人間で遺産分割協議を行います。
遺産分割により、不動産の名義変更の手続きを行う場合には、主に下記書類が必要です。
必要書類
遺産分割協議書 | 相続人全員が署名および実印で押印 |
被相続人の戸籍(除籍)謄本 | 被相続人の出生から死亡までのもの |
被相続人の住民票の除票 | 死亡の記載のあるもの |
相続人の現在の戸籍謄本 | 相続人全員のもの |
相続人の印鑑証明書 | 相続人全員のもの |
相続人の住民票 | 遺産分割協議の結果、相続不動産を相続する相続人のもの |
固定資産税の評価証明書または 固定資産税納税通知書中の課税明細書 | 登記申請時、最新年度のものが必要です。 |
登記委任状 | 司法書士に手続きを依頼する場合に必要です。 |
法定相続分による登記
遺言もなく、相続人間で特定の方が不動産を引き継ぐ取り決めも行わない場合、法定相続分に応じて不動産の名義を変更することができます。
この場合の不動産の名義変更に必要な書類は、主に下記のとおりです。
必要書類
被相続人の戸籍(除籍)謄本 | 出生から死亡までのもの |
被相続人の住民票の除票 | 死亡の記載のあるもの |
相続人の現在の戸籍謄本 | 相続人全員のもの |
相続人の住民票 | 相続人全員のもの |
固定資産税の評価証明書または 固定資産税納税通知書中の課税明細書 | 登記申請時、最新年度のものが必要です。 |
登記委任状 | 司法書士に手続きを依頼する場合に必要です。 ※司法書士に依頼する場合、委任を頂いた相続人の方のみ 登記識別情報が発行されます。 |
ご注意
法定相続分よる相続登記は、相続人のうちのお一人からでも登記申請が可能です。
この場合であっても、申請人以外の相続人の方は、法定相続分に応じた相続不動産の名義人となりますが、法務局から「登記識別情報通知」が発行されません。
登記識別情報通知は、現在では、登記済証(権利証)にあたるものとなりますが、その後、相続不動産を売却することになった場合などにお手間ないし費用がかさむことになりますのでご注意ください。
費用
登録免許税
登記申請時、固定資産税の評価額 × 0.4% の登録免許税がかかります。
司法書士報酬
ご依頼頂く業務の範囲によって変動いたします。
詳しくは料金表をご参照頂くか個別にお問い合わせください。
その他実費
郵送料や戸籍等取得費用、旅費日当などがかかります。
お問い合わせ
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